「くるみ割り人形と秘密の王国」感想~1つの映画では収まりきれない世界観

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私が2019年最初に観に行ったのがこちらの映画。

バレエが好きな私は「くるみ割り人形」が題材ということで期待半分不安半分、そしてあまり良くない評判を耳にしつつドキドキしながら観に行ったのですが、気づけばしっかりと楽しんでいました。

ただこの上映時間でこの世界観では時間が足りない(描ききれない)部分があり、一部の不満を生んでいるようでちょっともったいないような気がします。

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基本情報

原題は「The Nutcracker and the Four Realms」。2018年11月2日公開(日本では2018年11月30日)。

バレエ作品として広く知られる「くるみ割り人形」をディズニーが実写映画化。

監督はラッセ・ハルストレム(「ショコラ」や「HACHI 約束の犬」など)とジョー・ジョンストン(「ミクロキッズ」「ジュマンジ」「ジュラシック・パーク3」など)。

あらすじ

愛する母を亡くし、心を閉ざしたクララがクリスマス・イヴにもらったもの、それは鍵のかかった卵型の入れ物。「あなたに必要なものはすべてこの中にある」———母が遺した言葉の意味を知るために、クララは鍵を探し始める。その晩開かれた名付け親であるドロッセルマイヤーのクリスマス・パーティーで、彼からのプレゼントを受け取る糸をたどるゲームに参加したクララは、いつの間にか不思議な世界へ足を踏み入れていた。

鍵を追ってクララが迷い込んだのは、息を飲むほど美しく幻想的な世界。それは、色とりどりの花と緑で覆われた“花の国”、キャンディやマシュマロでできた“お菓子の国”、雪と氷がクリスタルのように輝く“雪の国”、そして謎の多い“第4の国”からなる誰も知らない<秘密の王国>。プリンセスと呼ばれ戸惑うクララだったが、やがて、この世界を創り上げたのが亡き母であることを知る。だが、マザー・ジンジャーが支配する“第4の国”が反乱を起こし、王国は消滅の危機に瀕していた。

母が愛した王国を救えるのは私しかいない———心優しい“くるみ割り人形”フィリップとともに、“第4の国”へと旅立つクララ。それは、この美しい世界に隠された<真実(メッセージ)>を探す、驚くべき冒険の始まりだった…。

公式サイト

登場人物

※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。

クララ(マッケンジー・フォイ)

本作主人公でとにかく美少女。冒頭でピタゴラ装置を作っていたりと賢さが強調されているが、実はアクションもできる。

思っていたよりも感情表現が豊かで、しっかり怒るイメージ。映画の尺の関係もあると思うけど順応性も高く、総合して他作品のおりこうさん主人公たちよりも若い女の子らしさを感じます。

衣装チェンジも多く、中でも白いドレスは豪華で素敵。私は兵隊風衣装(予告編でも見ることができます)がこのお話ならではという感じがして好き。髪をきっちりとお団子にしていてもちょっと乱れた状態でも、美少女なので似合う。

くるみ割り人形( ジェイデン・フォウォラ=ナイト )

秘密の王国の兵士、キャプテン・フィリップ。王国唯一の”くるみ割り人形”ということだけど、このストーリーにはくるみ割り人形である意味が感じられずちょっと残念。

礼儀正しく忠誠心があり、いつもそばに居てくれるという安心感。度々訪れるクララのピンチにはどこまででも追いかけてきてくれるところがかっこいい。

初対面で彼の忠誠心と自分が置かれた状況をおおよそ把握し彼をそばに置いておくことにしたクララの判断力にこの映画で一番感心しました。

シュガー・プラム(キーラ・ナイトレイ)

秘密の王国のうち、”お菓子の国”の統治者。人形のような顔(変わったメイク)にふわふわとした所作、綿菓子のような髪に甘い声が魅力。

吹替版で観たのですが、日本人がそもそも高く甘めな声なので声優さんによってちゃんと再現されているのに不思議な雰囲気が薄まりぎみ?字幕版でも観てみたいです。

見た目がちょっと変わっているけど美人だし、同じく自分の母の死を悼んでいるし、他の統治者はおじさんばかりだし、クララが王国に来て一番懐く気持ちはよく分かる。

マザー・ジンジャー(ヘレン・ミレン)

秘密の王国のうち、”第4の王国”の統治者。荒れ果てた地に住み、顔にも大きいヒビが入っていて恐ろしく、いかにも悪者という感じ。

今調べたらこの女優さんは現在73歳(!)なのですが、しっかりとアクションシーンもあって驚きます。

ドロッセルマイヤー(モーガン・フリーマン)

クララの名付け親。 彼の広大な屋敷で行われた”子どもたちが糸をたどって自分のプレゼントを探すゲーム”はお金持ちの道楽感があっていいですよね。

眼帯をして物静かな雰囲気がもしかしたら子供には少し怖いかもしれませんが、何もかも見透かしている雰囲気はまさにドロッセルマイヤーさん。

感想

※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。

アリス+オズ、一瞬ナルニア

察しの良い方であればこの見出しでストーリーの全てが分かってしまいそうですが、サスペンス映画でもないし大丈夫かなと。

ここで言うアリスとオズはどちらもディズニー実写版のこと。似てるからダメだというつもりではなく、どちらかというと「あ、どこかで観たようなと思ってたらあれだ!」みたいな、アハ体験的楽しさを感じました。

わくわくするようなファンタジー映画の王道を進もうと思えば、過去のそういった作品と共通点が出てくるのも当然といえば当然?こういった作品たちの中から、子どもたちは何を決め手にどれを一番のお気に入りに選ぶのかとても興味があります。

最後の”一瞬ナルニア”というのは、クララが屋敷から突然真っ白に雪が積もる森に出たシーンをみて「やっぱりこういうのは夢があっていいなぁ!あ、ナルニアも久しぶりに観たいな!」と感じたので。あれも好きです。

ネズミが絶妙にかわいい

くるみ割り人形といえば敵のネズミ!私の中ではおそろしいドブネズミのイメージなのですが、クララの鍵を持っていってしまったのは可愛らしい小さなネズミでした。

私はネズミが苦手ですが、このネズミ(名前なんだったっけ…)は「魔法にかけられて」のチップほどアニメすぎず、でも本物のネズミにはできない仕草や表情が付けられていて絶妙だと思いました。絶妙にかわいい。

ただ大群でくるとかなり怖いです。「崖の上のポニョ」でのポニョの妹(こちらも大群)のシーンにすら目を塞いだ友達にはちょっと見せられない感じ。

ネズミの話で思い出しましたが、王国に入る直前の屋敷の壁紙が好き。歩いているクララを境に進行方向にネズミ柄、後方がフクロウ柄と変化していきます。あれは何を表しているの?ドロッセルマイヤーさん(=フクロウ)宅と王国の境界線?

白鳥にはつながりが…?

クララがお屋敷でドロッセルマイヤーさんに会ったとき、白鳥のカラクリ(オルゴール?)が登場します。

そのときは「バレエつながりで『白鳥の湖』の白鳥にしたのかな?」と思っていたのですが、なんと王国の城の装飾も白鳥!(どちらも予告編で確認できます)

クララが小さくなったような描写もあったし、王国は実は違う視点からみた屋敷のことで、小さくなったクララが屋敷の色んな場所を探検しているというお話なのかな?と深読みしてみるも、そうでもなさそう。

では白鳥はたまたま…?でもあんな印象的なシーンに2回も?と考えが迷宮入りしました。こんなことを気にしている人が他にいるのかどうか…。

ちなみに逆再生される白鳥のカラクリをクララがすぐに直してしまうシーン。絶対にラストへの伏線だと思っていたけど、そのような、違うような?このあたりはもう一度観ないとなんとも言えないかも。

圧巻のバレエシーン

これはもう観てもらうしかないのですが、美しいの一言。ライトの当て方、舞台装置のバランス、完璧なバレエ…まるで夢をみているようでした。

だって、足首から下しか写っていないカットでさえ美しいんです。これがバレリーナの素晴らしさ!視聴後もしばらく一人で興奮してしまいました。

エンドロールでもダンスが流れるので、エンドロール中に席を立つ行為が今回ばかりは信じられなかったです。ダンスだけは観ていって~。

演奏前にはオーケストラの影が映りますが、これは映画「ファンタジア」のオマージュですね。こちらにもくるみ割り人形の楽曲が使われているので(本作で使用されなかった曲もあります!)観たことがない方は是非この機会に。

大切な人がいなくなってしまったとき

クララの母が亡くなり、登場人物それぞれが傷つき苦しんでいる状態で物語は始まります。母を亡くしたクララ、妻を亡くしたクララの父、女王を失った王国の人々など、それぞれ悲しみの乗り越え方は異なります。

これらの登場人物が、彼女を愛していればいるほど自分が抱える悲しみで手一杯になり、一人で突っ走ったりすれ違いを起こしたりしたことを考えると、とても切ない。

大人になったからうまく立ち回れるようになるというものでもないし、自分はどうなってしまうだろうと考えてしまいます。

また、母からのメッセージが分かった段階ですっかり気を抜いていたので、終盤に出てきたクララへの言葉には不覚にもドキッとしてしまいました。

まだ子供がいない私がこれから生まれてくるかもしれない子供に対して思うことがあるくらいなので、世のほとんどの母親が持っている感情だと思います。

姉弟の中でクララだけが特別扱いされ不公平な気がしますが、きっと母はクララが自分に似ているからこそどういった場面で躓くか分かっていて、生前から心配していたのでしょう。

そういえばクララの姉が一番大人な対応をしていて感心しました。パパよりもしっかり者だよね。

この設定は映画では描ききれない!

クララが訪れた王国は4つの国に分かれていてそれぞれとても魅力的なのですが、本編はほぼ城と”第4の国”の往復のみ。

クララが全ての国を訪れている描写があるので国民や街の様子もしっかりと作り込んであるのに、使われるシーンはこれだけ?と物足りなさが残ります。

花の国は農家や養蜂家が住んでいて雪の国には氷製造者や政治家が住んでいる、なんて面白い設定もあるのに生かされていない感が…。

この華やかさを維持しつつTVドラマになって花の国とか雪の国のエピソードもしっかり盛り込んでくれたら絶対観たい!映画の続編はあるのかな。

ところで、なぜ邦題は”秘密の王国”なんでしょう。原題からいくと”4つの王国”でも良さそうだけど。私の中で「メアリーと秘密の王国」(2013)と被ってややこしい!もしやわざと…?

あとがき

メッセージ性があり、でも難しくなく気軽に観ることができ、舞台を見ているような華やかさもプラスされている、クリスマスらしい映画だと思います。

とにかく、バレエの美しさやバレエ版のストーリーが気になった方には是非そちらも観てほしい!「くるみ割り人形」はバレエの中でも曲やダンスの変化が多く、楽しめると思いますよ。

私は「マコーレー・カルキン/くるみ割り人形」というバレエ映画が大好きでしたが、DVDが見つかりませんね…。

「ホーム・アローン」でお馴染みのマコーレー・カルキンが踊る姿が可愛らしく、メインはバレエですが確かナレーションも入っていて子供でも見やすかったです。そちらも機会があれば是非御覧ください!

↓こちらは1979年の人形アニメ。リメイク版(増田セバスチャン監督版)も良かったですが、リメイク前が気になっています。

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