「王様の剣」感想~魔法!冒険!でもちょっと地味な少年の成長物語

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ディズニーデラックスの新着で見つけたのでさっそく視聴。子供の頃に何度も観た作品だったので懐かしい!嬉しい!

登場人物もちょっと地味だしディズニー作品の中では知名度も低いですが他の作品と同じく魔法や音楽にあふれた物語で、どこか大人になった今でも忘れられない魅力を秘めています。

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基本情報

原題は「The Sword in the Stone」。1963年12月25日公開(日本では1964年7月18日)。

ディズニー長編アニメーション映画第18作目。ウォルト・ディズニーは次の作品(ジャングル・ブック)の公開前に亡くなったので、この作品が公開を見届けた最後の作品となった。

監督はウォルフガング・ライザーマン(「101匹わんちゃん」「ジャングル・ブック」「おしゃれキャット」などの監督。ナイン・オールドメンの一人)。

音楽はジョージ・ブランズ(「眠れる森の美女」「101匹わんちゃん」など)、歌はシャーマン兄弟(「メリー・ポピンズ」「シンデレラ」など)。

あらすじ

鉄床に突き立てられた剣を引き抜くことができた者が、次の王様になるであろうと語り継がれていた中世のイギリス。城で働くみなしごの少年ワートは、森の中で魔法使いマーリンに出会います。ワートを未来の王様と予言していたマーリンは、ワートに帝王教育を始めます。マーリンの魔法で魚や鳥、りすに変身したり、マーリンと魔女マダム・ミムとの変身合戦を見たり・・・、その中でワートは、生きるための勇気、知恵、愛を学んでいくのでした。古きイギリスに残るアーサー王伝説を、ディズニーの色鮮やかなアニメーションで何度も繰り返してお楽しみください。

ディズニー公式サイト ブルーレイ&デジタル作品紹介

魔法を使い食器を洗うマーリン

映画「王様の剣」より

登場人物

※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。

ワート(アーサー)

11か12歳くらいの痩せた少年。まじめで一生懸命だけどドジな部分がありケイやエクターにバカにされている。騎士の従者になるため勉強中。

教育を受けたことがなく望みも低いので不遇な環境にも関わらず現状に文句もなければ悩みもないのが見ていて辛い。空想が大好きで純粋なのでマーリンの魔法にはすぐに適応できる。

ある日運命的にマーリンと出会い、彼やアルキメデスから与えられた知識を次々と吸収していたはずだったが…。

マーリン

未来を見通せる魔法使い。青い三角帽とローブ、白ひげといういかにもな風貌のおじいちゃん。おっちょこちょいだったりすぐにへそを曲げたりで偉大な能力のわりに親しみやすいキャラクター。

運命に導かれ自分の元を訪れたワートを責任持って教育し世に送り出すのが彼の役目らしい。(あらすじには未来の王と予言していたとあるが、確か出会った頃はワートが王とまでは分かっていない)

変身の魔法はもちろん、序盤のお引越しや中盤の自動皿洗いシーンも夢がいっぱい!呪文も歌になっていて楽しい♪

水道や電気がある未来を知っているため中世の不便さにはご立腹の様子。私は「とんでも8分の歩いて5分じゃ」「やめんしゃい!」などのセリフがお気に入り。

アルキメデス

マーリンのペット?であり教養がある話せるフクロウ。一人称は日本語吹き替え版だと”我輩”で気難しい性格。

ワートに無関心なフリをしているけどピンチには命がけで助けに来てくれたりマーリン不在時もそばにいてくれたりとなんだかんだで優しい。

巻き込まれ体質で損な役回りが多い。ワートの教育を任されたシーンの「何(字が)読めん?ウソー?」「では何が出来るの」の言い方が好き。(まあそもそも私は江原さんが好き)

マダム・ミム

森のなかに住み人の不幸を喜ぶ恐ろしい魔女。でも小柄でテンションの高いおばあちゃんなのでマレフィセントのような恐ろしさはない。

世界一の魔法使いを名乗っていて少なくても変身能力はマーリンと互角。彼と対比するようにピンク系の服でコーディネート。

マーリンを尊敬しているワートをいじめ、助けに来たマーリンに魔法の決闘を申し込む。おじいちゃんとおばあちゃんによる魔法バトルはこの映画の見所のひとつ。

「私がもっと醜くなれるのを知ってるかい?」という身も蓋もない感じのセリフが好き。美女に変身したときにやっぱり性格悪そうにしかならない所も好き。

そのほかの人達

  • ケイ…20歳くらいの青年。力は強いが教養はない様子。優勝者が王となる馬上槍試合に向けて騎士としての特訓を始める。
  • エクター…ケイの父でワートを養っている里親でもある。罰点方式でワートに山程仕事を言いつける。ワートを教育しようとするマーリンのこともよく思っていない。
  • ペリノー…エクターに優勝者がイギリスの王になれるという馬上槍試合の話を持ってくる。エクターよりはちゃんとした大人。
  • 砂糖壺…マーリンのティーセットのひとつ。融通の効かない威張り屋さんなところがカワイイ。
  • …森でワートを見つけ執拗に追いかけるが失敗ばかりの哀れな肉食動物。頑張れというべきか、もうあきらめなよというべきか…。
  • 若いメスのリス…リスに変身したワートに一目惚れして付きまとう女の子。仕草がいちいち可愛い。恋は盲目であり、愛の力は偉大であることを体現。

感想

※ネタバレ情報が含まれています。ご注意ください。

魔法の中に見える現実

マーリンの授業はいつもなにかに変身するのでとても現実離れしているけど、教えていることは現実的。

魚になったときに教えるのは、”望みは高くなければならない。待つだけでは運命は変えられない。勇気を持ってやってみなければなにも手に入らない。”ということ。

夢はケイの従者(家来)だというワートには違和感を感じますが、知らず知らず「自分はなれるとしてもこの程度だ」と決めつけてしまうことはあるのかも。そういった限界を最初から決めてほしくないと聞こえます。

リスになったときには引力の話から男女が惹かれ合う恋愛の話へ。

リスの恋愛の展開の早さに付いていけないところはありますが、恋愛のやっかいな部分や愛のためなら狼をも倒すパワーを感じました。綺麗事だけじゃないというのが印象的。

子供の頃は恋愛を知らないながらも、失恋して涙を流す女の子リスと(付きまとわれて迷惑していたとはいえ)リスを傷つけてしまったことを悲しむワートをみて「お互い悪気はないのに傷つけたり傷つけられたりすることがあるんだな」と感じていました。

最終的にはいきなり運命的に王となる(ネタバレ)ので努力が実を結ぶストーリーが好まれる現代では嫌がられそうですが、ワートと一緒に学ぶ1つ1つは現代でも十分通用すると思うし、今となっても気付かされることがあります。

印象に残る”知恵の強さ”

一番強く感じるメッセージは「知識や知恵の強さ」。

魔法の決闘において自身で作ったルールを守らずマーリンを苦しめるマダム・ミム。良い魔法使いのマーリンはもはやこれまで?というシーンで知恵を使って切り抜けるところが爽快!ワートが学んだように「知恵は力となり得る」と感じさせてくれます。

魚に変身したワートが大きな魚に襲われたときにもマーリンは「どんな世界にも強いものが弱いものを脅かす。知識を使って立ち向かえ。」と教えます。

短編映画「ドナルドの算数マジック」や「ドナルドの物理教室」などが公開されたのもこの年代で、教育の重要性に注目されていた時代だったのでしょうか。

これまでの作品は”強く心に夢を持ち続けなさい”というメッセージが多かったのでちょっと新鮮でした。(もちろんこのメッセージもこの作品に入っています)

後の名作に影響を与える?

この作品が公開されてからディズニーに黄金期が訪れるまで20年以上ありますが、黄金期の作品に影響を与えているのかな?と思えるようなシーンがあるのが興味深いです。

例えば意思を持った食器たち、中でもしっかりとした個性まである砂糖壺くんは「美女と野獣」、魚のワートが大きな魚をかわすシーンは「リトル・マーメイド」(しかも魚の目がアースラの手下フロットサム&ジェットサムっぽい)、理由は違えど南の島へロケットのように飛んでいくマーリンは「アラジン」(さらにアロハシャツを来て帰ってくるシーンは続編の「アラジン ジャファーの逆襲」)を思い出します。

実際のところは分かりませんが誰もが知る作品たちが知名度の高くないこういった昔の作品の面白いシーンや技術などを参考にしたりして作られているのかなと思いひとりでワクワクしてしまいました。

ちなみにこうやって他の作品への面影を探すように見ていたからか、青い魚になったマーリンと小さいオレンジの魚になったワートの姿にどうしてもニモとドリーがちらついてしまう自分がちょっと可笑しかったです。

大人がワートから学ぶこと

どんな理不尽な罰点にも従っていたワートがマーリンを悪く言われて初めてエクターに口答えをするシーン。「自分に分からないことがあるからってそれが間違いだとはいえないでしょう?」「自分だけで決めて人の意見を聞かないのは勝手です」

なんでも知った気になってしまう大人にこそ刺さるセリフでした。新しいことや知らないことに出会ったときに受け入れられずとにかく否定や拒絶をしてしまうのは昔も今でも同じですね。

またワートがケイの従者(家来)になり喜んでマーリンに報告すると、マーリンが怒って出ていってしまうシーン。昔はワートが喜んでいるのになんでマーリンはそんなに怒ってるの?と思っていました。

今は望みを高く持ち教養のある人間になるよう教えてきたのに結局家来で満足してしまうワートへの、怒りよりも悲しみを感じながら観てしまいます。

子供の頃はワートと一緒にマーリンに教えてもらう立場で観ていましたが、大人の今観るとワートから教えられることが多いと感じたのが今回の発見でした。

あとがき

昔の記憶ではただただ色々な動物に変身したり魔法で戦ったりする楽しい作品でしたが、久しぶりに観ると結構メッセージ性が強いというか、私が今になって理解したり身にしみるようなシーンが多い映画だったんだなと気が付きました。

実写化の話もあるようで、それをきっかけにこの作品に少しでも興味をもつ方が増えるといいなと思います。

ディズニー作品を知りたいという人に真っ先にオススメする作品という感じではないけれど、でもやっぱり私は好きだなぁ!

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