「三人の騎士」のすすめ

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ドナルドの誕生日をホセ、パンチートがお祝いしてくれる映画です。個性的で陽気な仲良し3人組がやりたい放題!

タイトルからはお姫様を守るようなストーリーが連想されますが、実際は女性にうつつを抜かすばかり。デイジーには内緒です。

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基本情報

原題は「The Three Caballeros」。1944年12月31日メキシコで公開(アメリカでは1945年2月3日、日本では1959年3月10日)。

ディズニー長編アニメーション映画第7作目。前作「ラテン・アメリカの旅」の続編とされるオムニバス作品。

アニメ映画「ラテン・アメリカの旅」の紹介。ウォルト・ディズニーとスタッフたちによる南米旅行と、そこで生まれた4つの短編アニメーションから構成されるオムニバス映画。ホセ・キャリオカの誕生が描かれているところは貴重!

監督は前作と同じくノーム・ファーガソン(「シンデレラ」「不思議の国のアリス」などの作画監督)。

全体のあらすじ

ドナルドの元へ、ラテン・アメリカより荷物が届きました。中には誕生日プレゼントがいくつも入っています!

1つ目のプレゼントは映写機。ドナルドはさっそく2つの物語を楽しみます。(さむがりやのペンギン パブロ/空飛ぶロバ)

2つ目のプレゼントはブラジルと書かれた本。中から登場したブラジルの友達ホセはドナルドを小さなサイズに変えると、本の中のブラジルへ案内します。(バイーア)

元のサイズに戻った2人があけたプレゼントから登場したのは、メキシコの友達パンチート。彼はドナルドにピニャータをプレゼントします。(ラス・ポサーダス)

­ドナルドがピニャータを割ると、たくさんのプレゼントが飛び出しました。
パンチートはその中の1つである本を使ってドナルドとホセにメキシコを案内します。
メキシコで出会った美女たちに舞い上がったドナルドは、いつしか白昼夢の世界へ…。(メキシコ~パツクアロ、ベラクルス、アカプルコ から最後まで)

仲良く歌うドナルド、ホセ、パンチート(三人の騎士)
映画「三人の騎士」より

各作品のあらすじと紹介

さむがりやのペンギン パブロ The Cold-Blooded Penguin

南極に住むペンギンのパブロはとても寒がり。ストーブのスモーキー・ジョーといつも一緒です。

ある日、パブロは温かい南国の島を目指して旅に出ることに。しかし、家を少しでも離れると寒すぎて身動きが取れません。そこで家ごと船に変え、南米に沿って航海しながら赤道沿いの島へと向かいます。

暖かい島を目指すパブロ。
映画「三人の騎士」より

厚着姿が可愛いパブロの短いストーリー。航海中の霧のシーンが好きです。
起承転結の転が弱めなので結もふわっとした感じ。それにしてもスモーキー・ジョー…。

パブロのお話の後に南米の鳥の紹介が続き、ここでアラクアン・バードが登場します。

空飛ぶロバ The Flying Gauchito

ウルグアイのガウチョが語ってくれた物語。語り手が子供の頃のお話です。

ある日、コンドルを捕まえるため高い山にやってきた少年は翼が生えたロバに出会います。少年はこの人懐こいロバを捕まえると、一緒にレースに出場することに。優勝すればたくさんの賞金が手に入るのです。

そしてすっかり仲良しになったロバと少年が迎えたお祭りとレースの日。翼を隠したロバに乗る少年は大人たちの笑いものですが、はたしてレースの結果は…?

翼が生えたロバと、それに乗るガウチョの少年。
映画「三人の騎士」より

­ちびっこガウチョとロバのコンビが愛らしい、不思議なお話。レースで飛ぶのは反則だろうと思いつつ、2人を見ているとハラハラしてついナレーションのように助け舟を出したくなってしまいます。

バイーア Baia

本の中から登場したホセはドナルドにブラジルのバイーアの魅力を伝えます。興味をもったドナルドは、さっそく本の中の汽車に乗りバイーアへ。

そこで出会ったお菓子売りの魅力的な女性ヤヤーと一緒に歌とダンスを楽しみます。

バイーアで女性と踊るドナルドとホセ
映画「三人の騎士」より。この男性の楽器が気になる。

前作「ラテン・アメリカの旅」で誕生したホセが再び登場!実写映像とのコラボレーションは背景が絶妙に2次元と3次元の間を取り持っている感じ♪

やっぱりヤヤーが一番印象に残りますが、前半の美しい情景(アニメーション)や終盤の男性2人が雄鶏に変わる演出なども素敵で見どころ満載です。

ちなみにずっとお菓子売りの女性の名前がヤヤーだと思っていたのですが、調べたらヤヤーはバイーア(出身)の若い女性を指すらしいですね。すごく限定的!

ラス・ポサーダス Las Posadas

パンチートがメキシコのクリスマスをドナルドたちに教えます。メキシコではクリスマス前の9日間、毎晩子どもたちが教会に集まりそこから行進するのです。

これはマリアとヨセフがナザレからベツレヘムへ向かう旅を表していて、子どもたちは2人の彫像を運びながら宿を求め家々をまわります。

マリアとヨセフの像を運びながら行進するメキシコの子どもたち。
映画「三人の騎士」より

­パンチートが登場して始まった3人の賑やかな歌から一転、静かな雰囲気の短い物語です。紙芝居のような感じ。

イッツ・ア・スモールワールドを思わせるこの子どもたちのデザインはきっとメアリー・ブレアのイラストですね。これが一番分かりやすい!

メキシコ~パツクアロ、ベラクルス、アカプルコ Mexico: Pátzcuaro, Veracruz and Acapulco

パンチートは本を使ってメキシコの国旗に描かれた歴史や国の魅力を伝えます。そして興味を持った様子のドナルド、ホセを誘うと空飛ぶセラーペに乗り、本の中へ。

まずはパツクアロを旅する3人。大きな湖の上をひとっ飛びすると、パンチートお気に入りのダンス、ハラベ・パテーニョを鑑賞します。
そして再び空を飛びベラクルスへ。ここでも美しい娘たちがリロンゴを踊っていて、ドナルドは彼女たちとのダンスに浮かれます。

最後はビーチリゾートがあるアカプルコへ。ビーチの水着女性たちに釘付けとなったドナルドは、ひとりセラーペから降りると女性たちと戯れはじめます。

水着美女に浮かれるドナルド
映画「三人の騎士」より

女好きのドナルドが印象に残るお話。私は女性たちの衣装が可愛くて、三人共楽しそうなリロンゴが大好き!

ユー・ビロング・トゥ・マイ・ハート You Belong To My Heart

今度はメキシコシティの夜景を見る3人。ロマンチックな夜空に浮かび上がった美しい歌声の女性に、ドナルドはまたもやすっかり夢中になってしまいます。

歌う美しい女性に夢中なドナルドとホセ、パンチート。
映画「三人の騎士」より

女性の首だけ現れるのがちょっとシュールですが、カラフルな星が浮かぶ夜空とロマンチックな歌詞にうっとり。1曲分の短い作品で、途中から次の白昼夢の世界へ入っていきます。

ドナルドの白昼夢 Donald’s Surreal Reverie

美女に舞い上がったドナルドは、白昼夢の世界へ。夜空に浮かんでいたはずの女性は花になり、ホセやパンチート、ビーチの女性たちまで現れ、これらが混ざり合う不思議な…夢?

優雅に踊る花のような女性はいつしかソンブレロをかぶりサボテンたちとダンス。最後はドナルドが闘牛の牛となってマタドール役のパンチートに突進。ドナルドが被っている牛の花火にホセが火をつけると…。

ドナルドの白昼夢の中で人間の女性の足が生えているドナルド・ホセ・パンチート。
映画「三人の騎士」より

あらすじを書いていてもわけが分かりません。ナンセンスな映像を楽しむ映画のラストスパートを担う作品。上の画像のあたりが私の中ではいちばんの衝撃映像でした。

あれよあれよという間に映画が終わるので(クレジットが冒頭に有るため、エンドロールもありません)どのシーンも見逃さないで!

注目ポイント

ストーリーを楽しむ前半、映像を楽しむ後半

本作の大きな流れとしてはドナルドの誕生日をホセとパンチートが祝うというもの。

その中で、最初のプレゼントである2つの短編はストーリーがある見慣れたアニメーションですが、バイーア以降は歌とダンス(と美女)がメインの映像作品が中心になっていきます。

なので、きちんとしたストーリーがないとつまらないと感じる人は後半で飽きてしまう可能性がありますが、ストーリーのあるものとないもの一つの映画でどちらも楽しめるとも言えます。後半は特に中毒性が高いので見てみたら意外とはまるかも?

全体の流れはあっても各話の繋がりはないので、気になる作品だけをつまみ食い的にみるのもアリです!

パンチート初登場にして唯一の長編

兄弟のように仲がよく、三人そろうと最強!なイメージがあるドナルド、ホセ、そしてパンチート。本作がパンチートの初登場作品です。

ところがよくよく考えると、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作の長編映画のうち3作品出演のホセと5作品出演のドナルドに対してパンチートの出演作はなんと本作のみ!(当ブログ調べ)

その後制作されたTVアニメなどを除けば意外とこの三人の共演は貴重なのです。そんな三人が本編中盤で歌う主題歌の「三人の騎士」は彼らのファンでなくても必見の楽しさ♪昔のカートゥーンらしいドタバタと少しブラックなやりとり、そして歌声も見事です。

ホセとパンチートはドナルド同様ディズニーリゾートで会うこともできるので、このシーン(バイーアとラス・ポサーダスの間です)だけでも是非見てほしい!

サイケデリックな映像世界?

ラストの「ドナルドの白昼夢」で見られるのはなかなかにサイケデリックな映像。雰囲気としては、「ダンボ」のピンクの象のシーンに少し共通する部分も?

バイーアに向かう汽車のシーンなどもそうなのですが、初期のディズニー作品に欠かせないアーティストの一人、メアリー・ブレアによる色彩がこれでもかと堪能できます。

実写映像のフィルムに直接アニメーションを書き込むような合成方法といい、アート作品とも言えるアニメーションといい、初期作品ならではの魅力が間違いなく本作に詰まっています。

ドナルドの白昼夢の中
映画「三人の騎士」より

あとがき

見れば見るほどハマっていく作品。最初はドナルドたちによる主題歌「三人の騎士」目当てで見ていましたが、その後バイーアやリロンゴなどのダンスと曲が頭から離れなくなり、今はユー・ビロング・トゥ・マイ・ハートを口ずさみながら脳内でサイケデリックな映像がぐるぐると回っています。

2019年6月に新アニメーションシリーズ「三人の騎士の伝説」が日本初公開された今、彼らの伝説の始まりとなるこの映画にも以前より注目が集まるのではと期待しています♪

余談ですが、本作ではドナルドの誕生日が13日の金曜日となっています。現在ドナルドの誕生日は初出演作の公開日である6月9日となっているのですが、そのように決まる前は13日だったんですね。ちなみに短編映画「ドナルドの誕生日」では3月13日になっています。豆知識♪

↓関連作品として、前作の「ラテン・アメリカの旅」と続編?関連作品?を含む「メロディ・タイム」があります

アニメ映画「ラテン・アメリカの旅」の紹介。ウォルト・ディズニーとスタッフたちによる南米旅行と、そこで生まれた4つの短編アニメーションから構成されるオムニバス映画。ホセ・キャリオカの誕生が描かれているところは貴重!
アニメ映画「メロディ・タイム」の紹介。よりライトで親しみやすくなったファンタジアといった感じの音楽を楽しむ歌詞ありセリフ有りのオムニバス映画。ドナルド出演作もあるよ!