アニメーション作品とその制作秘話の特典映像を一緒に観ているような、ちょっと変わった映画です。
ドナルドやグーフィー、この映画で生まれたホセ・キャリオカなど、おなじみのキャラクターたちも登場するので古い映画だけど親しみやすい♪
Contents
基本情報
原題は「Saludos Amigos」。1942年8月24日ブラジルで公開(アメリカでは1943年2月6日、日本では1957年3月20日)。
ディズニー長編アニメーション第6作目。ラテン・アメリカ旅行の実写映像をはさみつつ、この旅で生まれた4つの短編アニメーションで構成されたオムニバス作品。続編として次作の「三人の騎士」がある。
監督はノーム・ファーガソン(「シンデレラ」「不思議の国のアリス」などの作画監督)。
1943年度(第16回)アカデミー賞では歌曲賞(主題歌「Saludos Amigos」)、作曲賞、音響賞の3部門にノミネートされた。
旅の概要
ウォルト・ディズニー率いる制作スタッフたちが新しいアニメーション映画のヒントを探しにラテン・アメリカへ飛行機で出発します。
3日かけてリオデジャネイロに到着した一行はコルドバで二手に分かれ、一方はアンデス山脈を越えてチリへ、一方はチチカカ湖へ。
チチカカ湖ではドナルドのアニメーション映画、アンデス山脈を越えチリへ向かったグループはこの地を初めて飛んだ郵便飛行機をテーマにアニメーションを作りました。
一行はチリから東へ向かい、パンパスを越えてブエノスアイレスに到着。パンパスに生きるアルゼンチンのカウボーイ、ガウチョに興味を持ち、さっそく本物のガウチョに会いに行くと細かく観察してグーフィーのアニメーションを制作します。
その後パンパスを後にしてリオデジャネイロへ。ここでオウムのキャラクター、ホセ・キャリオカが誕生します。彼と数々のスケッチ、楽しいサンバのリズムを合わせ、本作最後の作品が生まれました。
各作品のあらすじと紹介
ドナルドのアンデス旅行
アンデス旅行へやってきたドナルドはさっそく高山病に見舞われたものの、バルサという船に乗ったり市場で人々を観察したりと旅行を楽しみます。
ラマに乗る地元の少年に出会うと、衣装や持ち物を交換したドナルド。さっそく少年がしていたように笛を使ってラマに指示を出し、その背中に乗って観光を続けますが…。
まずはドナルドの短編アニメーション。旅で得たアンデスの情報を盛り込みながらも、いつもどおりのドナルドによるドタバタ劇が楽しめます。
やっぱりラマが登場してからが面白いですね。スタッフはラマをキャラクターとしてかなり気に入ったんだと思う。
小さな郵便飛行機ペドロ
サンティアゴの近くの小さな飛行場でパパとママと一緒に暮らしていた小さな赤い飛行機のペドロ。普段は学校で立派な郵便飛行機になるための勉強をしています。
ある日パパが風邪を引き、ママも高い熱をだして仕事ができなくなってしまいました。そこでペドロが郵便を運ぶことに。パパは出発前のペドロに「アコンカグア山には近づくな」と警告します。
両親の言いつけを守り順調に仕事をこなしていたペドロ。しかし、目的地で郵便を受け取った帰り道にうっかりパパの言いつけを破ってしまい…。
やんちゃでがんばり屋さんのペドロがとにかく愛らしい作品。スケッチで描かれた段階ですでにとっても可愛い!
ストーリーは定番そのものですが、もうダメか?!というシーンが長めなのでちょっと心配になりました。
グーフィーのガウチョ
北アメリカのカウボーイであるグーフィーを南米に連れてきて、南アメリカ版カウボーイであるガウチョを紹介するアニメーション。
まずはカウボーイとガウチョの衣装の違い、そして相棒である馬の扱い方や鞍の付け方。そしてアルゼンチン流バーベキューの作法や、投げ玉の使い方など。
夜は一人バラードを弾き語り、その後は馬と一緒に踊りを楽しみます。
ナレーションによるちょっといい加減な解説とスローモーション演出など、まさにグーフィーの短編アニメーションシリーズにおける”教室シリーズ”の構成です。
グーフィーの弾き語りシーンに思わずうっとりしてしまった自分が悔しい!(詳しくは本編を御覧ください)
ブラジルの水彩画
陽気な音楽に合わせ描かれた水彩画が次々とその姿を変えていく、楽して美しいアニメーション。
ドナルドが出会ったのは、筆で描かれ登場したホセ・キャリオカ。初対面の2人は名刺交換を済ませると、ホセがドナルドにブラジルを案内することに。
ブラジル原産の蒸留酒、カシャッサを飲んだドナルドのしゃっくりがサンバのリズムを刻むと、夜まで女性とサンバを踊り明かすのでした。
ホセ初登場作品。ストーリーよりも音楽と映像を楽しむアニメーションです。
吹替版でも英語版でもホセはほとんどポルトガル語?で話していてその内容が分からないので、ストーリーには影響しませんがちょっと気になります。
注目ポイント
※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。
制作ドキュメンタリー風?
こういった形式の映画を初めて観ました。スタッフのラテン・アメリカ旅行を実写映像で流しつつ、間にその旅で制作されたアニメーションが流れます。
アーティストたちがサラサラとスケッチしていく様子は、絵が苦手な私から見るとまるで魔法!その後のアニメーションで先程のスケッチが生かされているのを見るのがまた楽しいです。
旅行で訪れた町や人々の生活を紹介するシーンはどこか学校で見る教育番組みたい。当時の南アメリカの様子を、制作スタッフたちと一緒に体験しているような気分になります。
ホセ・キャリオカ誕生の瞬間!
キャラクター誕生の瞬間が映画の中で描かれるなんて、レア中のレア!だと思います!
本作で誕生したのは緑色のオウムのキャラクター、ホセ・キャリオカ。短いシーンですが実物を見ながらスケッチをして、衣装を加えて…とキャラクターが出来上がっていく様子に興奮してしまいました。
モデルとなったオウム君もまさか自分がアニメキャラクターになり何十年も愛されてiphoneケースなんかにもなっちゃうなんて、思いませんよね。
その後のアニメで描かれるドナルドと初対面の瞬間もとっても楽しいです♪
ドナルドとグーフィーの短編映画を楽しもう
我らがドナルドとグーフィーが大活躍!この年代にたくさん制作されていた短編映画のひとつとも数えられる作品を、本作では見ることが出来ます。
ノリとか構成がまさに単独で制作されている短編映画そのまま。この映画の中の作品が気に入ったなら、是非ほかの短編映画もチェックしてみてください♪
「小さな郵便飛行機ペドロ」のペドロは本作限りのキャラクターですが、「青い自動車」のスージーのように乗り物まで表情豊かで愛すべきキャラクターにしてしまうところや定番のストーリー展開にはやはり他のディズニー短編との共通点を感じます。
https://kamomerepo.com/donald-list/
あとがき
50分弱と映画にしては短めで、内容も短編アニメなのでさくっと見ることができます。アカデミー賞ノミネートのテーマ曲をはじめとした陽気なリズムで元気になれて、キャラクターたちに癒やされる♪
次作「三人の騎士」は直接繋がっていないものの本作の続編とされているので、セットで見るのがオススメです。