ピクサー短編作品、「晴れときどきくもり」の紹介と感想です。
コウノトリ、お前ってやつは…!
基本情報
原題「Partly Cloudy」2009 5分
Written & Directed (脚本・監督) by Peter Sohn(ピーター・ソーン)
Produced (制作) by Kevin Reher
Executive Producers John Lasseter , Andrew Stanton
Story Advisor Bob Peterson
ピクサーアニメーションスタジオ作品。
あらすじ
雲が作った赤ちゃんを、コウノトリが地上へ運ぶ―――
ある雲、ガス(Gus)が作る赤ちゃんは鋭い牙を持つワニや棘だらけのヤマアラシなど危険な生き物ばかりで相棒のコウノトリ、ペック(Peck)はボロボロに。
ある時ペックは別の雲のところへ飛んでいってしまい…。
どんな作品?
「カールじいさんの空飛ぶ家」と同時上映された短編作品。
監督は「レミーのおいしいレストラン」でエミールの声を演じたピーター・ソーン。
ナラティブ国際3D協会短編映画賞受賞。
感想(ネタバレ注意)
やっぱり赤ちゃんは空からやってくる
セリフなしで描かれる、赤ちゃんを作って届ける雲とコウノトリのお話。
コウノトリが赤ちゃんを運んでくるお話は「ダンボ」を観て育った私には馴染みやすいストーリーですが、日本ではそんなにメジャーではないのかな?
それとも人気映画「ボスベイビー」(ドリームワークス)でも雲の上から赤ちゃんがやってくるので、わりと自然に受け入れられているのでしょうか。
本作では雲が赤ちゃんを作るシーンがあって、夢に溢れた設定にワクワクします。そうやって作るんだ!
ふわふわに包まれて生まれるのは気持ちよさそうです。
なぜガスだけが危険な赤ちゃんを作る?
主人公である雲のガスは、他の雲より少し下にいる灰色がかった雲。ガスが作るのはちょっと危険な赤ちゃんばかりであることから物語は展開していきます。
ガスはこういう生物しか作れないのか、こういう生物を作る係なのか、信念を持ってあえてこの子たちを作っているのか…?
最初に上の雲たちを見上げる表情は彼らへの憧れと不安が見える気がします。
これがガスにとっての可愛い赤ちゃんなのかな。確かに可愛いんだけど。
他の雲たちが作らないような赤ちゃんを作って届けてくれるガスやペックは間違いなく地上に必要な存在ですが、もっと負担をみんなで背負えないのかどうしても気になってしまいます。
ペックは本当にいいやつですが、やっぱりハッピーエンドといってもかわいそうで!
せめてガスには1対1じゃなくてちょっと多めにコウノトリを配置して欲しいものです。
ファンタジーとコメディと胸を打つラスト
まるで天国のような美しい空と雲の景色がファンタジック。
雲の悲しみは雨、怒りは雷として表現されるところもいかにもファンタジーな表現で楽しいです。
そこにペックの体を張ったコメディと、ラストはその心意気にじんわり胸が熱くなるストーリー。
5分にいろいろな要素がギュッと詰まっていて贅沢な作品だと思います。
どんな生物にも幸せを届けるガスとペックにも幸せでいてほしい。ワニやヒツジ?やヤマアラシの赤ちゃんが届けられ親が喜んでいるところを想像して彼らを勝手に誇らしく思ってしまいました。