「SPARKSHORTS誕生の物語」:初めて監督をする2人の対照的なクリエイター

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ディズニープラスオリジナル作品、「SPARKSHORTS誕生の物語」の紹介と感想です。
ひとつの完成品の裏にたくさんの物語があることを改めて知ることができる作品。

SPARKSHORTS誕生の物語サムネイル
画像:「Disney+」より
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基本情報

原題「A Spark Story」2021 87分

Directed (監督) by Jason Sterman , Leanne Dare
Produced (プロデューサー) by Jason Sterman , Brian McGinn , David Gelb

Disney+オリジナル作品

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概要

SPARKSHORTSの監督に選ばれた2人のクリエイターに焦点を当てたドキュメンタリー作品。

「誕生日シンドローム」のアフトン・コービン監督と「おばあちゃんの特別な日」のルイ・ゴンザレス監督が如何にして作品を作り上げたかを紹介する。

↑「SPARKSHORTS誕生の物語」トレーラー

どんな作品?

ディズニープラスオリジナルのピクサー短編シリーズ”SPARKSHORTS”の中から2作品について制作を追うドキュメンタリー。

監督が選ばれるところからストーリーを考えたりどう表現するかを決めたりと細部まで明かされていく。

「誕生日シンドローム」「おばあちゃんの特別な日」の2作品が好きならまず必見。
ピクサー社の内部やそこで働く人たち、クリエイターの仕事内容、映画製作の裏側などちょっとでも興味があれば観て損はないです。

感想(ネタバレ注意)

違うタイプの2人の監督

2人の監督
↑監督として2人が選ばれた瞬間

「誕生日シンドローム」のアフトン・コービン監督は20代女性で才能あふれる新人クリエイターという感じ。

一方「おばあちゃんの特別な日」のルイ・ゴンザレス監督は勤続20年ほどになる多数のピクサー映画に関わったアイデアマン。

2人とも上層部から才能を認められ、彼らに自由に映画を作らせてみたいとSPARKSHORTSの監督に抜擢されます。

この多くの点で異なる2人がそれぞれ作品作りに向き合う姿を並行して追っていくのですが、対照的な部分も多くて興味深いです。
どこで悩むのかとか、性格の違いとか、何に影響を受けてきたのかとか…。

リアルな思い出に基づく設定

おばあちゃんと娘
↑監督の祖母がモデルのノナおばあちゃん

「おばあちゃんの特別な日」は監督の祖母と、監督の娘がモデル。
身近な人物をモデルにすることでリアルな人物像になっています。

「誕生日シンドローム」は監督本人が感じたことをもとにしたアイデア。
監督にも実際に姉がいます。

SPARKSHORTSは低予算・製作期間6か月というくくりで才能発掘のためチャンスを与えているプロジェクト。

決まりは物語になっていることと、全ての人を対象にしていること。

ストーリーについての制限が少ない分、すごく個人的な面が出ていて面白いなと思います。

プロデューサーとの二人三脚

プロデューサーと監督
↑アニメーターにプレゼンするプロデューサーと監督

監督とプロデューサーの関係性ってよくわからなかったんですけど、少なくともSPARKSHORTSについては完全に二人三脚。

2人で話し合ってチームを動かしているという感じ。アニメーターにプレゼンするときも2人で前に立ちます。

お互い知らない人だったりプロデューサーをするのが初めての人だったりと戸惑いつつ一緒にひとつの作品を作っていく姿が素敵でした。

アフトン・コービン監督

アフトン・コービン監督
↑アフトン・コービン監督

アフトン・コービン監督は基本的に全部自分でやろうとしている感じ。

はじめはプロデューサーを必要ないと感じたりアニメーターによるキャラクターデザインも当初は自分でやろうとしたり。
でも決して協調性がなかったりワンマンというわけではない。

基本的に何でもできちゃうし今までもひとりで色々作ってきた人なんだろうなと思います。野心的でカッコいい。

昔描いていた絵の中にどう見てもセーラームーンに影響を受けた絵があったり、無印良品の紙袋を持った写真があったりというところには親近感がわきます。

短編映画「BAO」の監督に相談しているシーンが印象的でした。

ルイ・ゴンザレス監督

ルイ・ゴンザレス監督
↑ルイ・ゴンザレス監督

こんなにすごい経歴なのにインタビューではどこかしら自信のなさを感じるルイ監督。

アイデアはすぐに出たものの、ストーリーに悩んで行き詰ってしまいます。
私が想像するクリエイターの大変さをしっかりと見せてくれる感じ。

あのストーリーと演出のアイデアがこんなに難産で生み出されたのだと知ると余計に完成品が完璧であると感じられます。

監督の話を聞く中で私の解釈違いもいくつか発見してしまい、ちょっと申し訳ない気持ちにもなりました。

あんなに悩んでいた姿があったからこそ、作品が完成したときの自信をもって作品を愛している姿が印象的でした。

長編映画の裏話も

例としてピクサーの長編映画を引き合いに出してくれるので、図らずも長編映画の裏話というか、裏でどのような議論があった末に完成したシーンだったのかみたいな話を知ることができます。

ウォーリー、ファインディング・ニモ、モンスターズ・インクなど、何気なく見ている1シーンがよく計算されていたことを知ることができて楽しいです。