「ラマになった王様」感想~グルービーで豪華なギャグアニメ

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無性に観たくなるときがあるこの作品。シンプルなストーリーにカートゥーンらしいギャグをこれでもかと盛り込んでいます。

ディズニー映画に苦手意識がある方によく「NO.1ディズニーアニメ!」と言わせるようなディズニーらしからぬ要素もありつつ、やっぱりどこかディズニーを感じる、このバランスが絶妙です。

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基本情報

原題は「The Emperor’s New Groove」。2000年12月15日公開(日本では2001年7月14日)。

ディズニー長編アニメーション映画第40作目。

監督はマーク・ディンダル(「チキン・リトル」の監督)。

続編に「ラマになった王様2 クロンクのノリノリ大作戦」(2005)がある。また2006年にTVシリーズ 「ラマだった王様 学校へ行こう!」の放送が開始された。

あらすじ

南米の深いジャングルの彼方。とある国の王様クスコは、ワガママ+イジワル+ゴーマン=超ヤなヤツ。ところが、気まぐれでクビにした魔女イズマに毒薬を飲まされて、クスコは、ラ、ラ、ラマにっ!?しかも袋詰めにされたあげくに、めぐりめぐって荷車に乗せられ、農夫パチャの村まで運ばれて…。何も知らないパチャは、しゃべるラマを見つけてア然。気の良いパチャに、「城へ連れて帰れ」と相変わらず態度がデカいクスコ。←ホントは一人じゃ帰れないくせに。ケンカばかりの最悪コンビは、果たして城に戻れるか?クスコは人間に戻れるか!?グルーヴィなリズムに乗って、パワフルな“ノリ”と“笑い”が大炸裂!!これまでとはまったく違う、新しい感覚のディズニー・エンターテイメント!

公式サイト デジタル&ブルーレイ作品紹介
英語版ですが、ノリの良さは伝わると思う。

登場人物

※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。

クスコ

ある国の若き国王で、この物語の主人公。ナレーションも彼。18歳目前の17歳。

自分勝手で思いやりがない、とにかくイヤなヤツ。幼少期のワンシーンより、まわりが甘やかしすぎた結果だと想像させる。

イズマによってラマに変えられ、気がついたときにはパチャと一緒に丘の上の村にいた。イズマが犯人だとは知らず、彼女に頼ろうと城を目指すが…。

英語版のデヴィッド・スペードも日本語版の藤原竜也も、力の抜けた軽いしゃべりが良い感じ。ツッコミのときもこの調子なので、映画全体が緩い雰囲気。

パチャ

召喚状を受け取り城にやってきた真面目でお人好しな村人。

代々丘の上に住んでいたが、クスコが丘の上に別荘を建てると言い出したため村ごと立ち退かなければならなくなる。

その後知らぬ間に連れ帰ってしまったクスコ(ラマ)を、別荘をよそへ建てることを条件に城へ送り届ける。クスコはこの約束を守る気はないようだが、パチャは彼の変化を信じているしなによりお人好しなので放っておけない。

慣れないうちはもうひとりの優しい大男クロンクと見分けがつかなかったりする。

イズマ

クスコの相談役を務めるいかにも意地悪そうな痩せたお婆さん。城に秘密の研究室を持ち、毒薬や変身薬を作っている。(研究室への移動手段が楽しそう!)

長年勤めていたがあっさりとクスコに解雇されたことで、彼を暗殺して王座に就こうと企む。ところが計画は失敗し、クスコはラマに。とどめを刺すため自らクスコを追う。

ギャグ満載な映画なので、もちろんイズマも体を張りまくるところが楽しい。足をチラリとするシーンも最後の姿も素敵です。

しかしお婆ちゃんとはいえ、胸の位置が低すぎないか…?

クロンク

イズマの右腕(というか手下)の大男。中身はまるで子供のようだけど、たまに鋭い。クスコの見立てでは20代後半くらい?

イズマにクスコの始末を指示されるが心の中の天使と悪魔が葛藤し、結局生きたまま逃してしまう。

昔生き物クラブの部長だったため生き物の言葉が分かり、子どもたちともすぐ仲良くなれる、まるでディズニープリンセスのような男。料理好き。

続編では主人公になるほどの人気っぷりです。

そのほかの人達

  • チチャ…パチャの妻。妊娠中。賢くて察しの良いしっかり者で、お人好しなパチャと好相性。
  • チャカとティポ…パチャの子どもたち。姉のチャカは歯がグラグラするお年頃で、弟のティポは背が伸びるのが楽しみなお年頃。チームワーク抜群。
  • リスのバッキー…クスコが森で出会ったリス。無礼な振る舞いのクスコに仕返しをする際に見せる、ディズニーのリスらしからぬ悪い顔は必見。
  • テーマソング・ガイ…映画のオープニングとエンディングを歌で盛り上げる。英語版はトム・ジョーンズ、日本語版は西城秀樹。

感想

※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。

ストーリーはいたってシンプル

原題の「The Emperor’s New Groove」はアンデルセン童話「裸の王様」の英語版タイトル「The Emperor’s New Clothes」をもじっています。

そして邦題の”ラマ”からはなんとなくイソップ寓話「王様の耳はロバの耳」を連想します。(実際に変化の最初は耳から!)

しかし設定として一番近いのは、実はディズニー版「美女と野獣」。意地悪な王様(王子様)が経緯は違えど変身させられ心を入れ替えていくお話です。

そんなストーリー展開を映画が始まってからものの10分ほどで把握できるので、後は安心してギャグに身を委ねられます。この映画に関しては予想外の展開や結末など不要であり、気軽に楽しめる所が魅力だと思います。

お気に入りのギャグシーン

まずは冒頭のお妃選び。クスコはまずこのシーンで惜しみなく性格の悪さを見せつけてくれます。とにかくテンポが良く掴みはバッチリ、という感じ。後ろから殴りかからんとする女の子は気の毒ながら何度観ても面白いです。

そしてレストランの回転ドアギャグ。こちらもテンポの良さが最高!その後のシンクロまで完璧で本当に敵同士?というくらい息がピッタリです。レストランシーンは全体的にキャラクターたち自身も楽しんでいる感じがして好き。

後は終盤の変身合戦。人間に戻るための薬がどれか分からずひとつずつ試していくしかなくなったクスコがイズマから逃げなからどんどん変身するところが楽しいです。中でも一旦ラマに戻り思わず喜ぶクスコや変身した兵士たちの予想外の反応が面白い!

クスコの心の変化

結末が分かっていても気になるクスコの心の変化。パチャと旅をする中で気まずかったり素直になれなかったりというシーンも多いですが、こういった心境を目の動きなどの表情でしっかりと描くところがディズニーらしいと感じます。

度々衝突しながらも最後までクスコの変化を信じ続けていたパチャ。ひどい仕打ちをしてしまっても決して自分を見捨てないパチャのおかげで少しずつ変わることが出来たクスコ。この2人の関係が良かったです。なんだか反抗期の未熟な若者とそれを見守る親のよう。

それにしてもクスコがこんなに独り善がりに育ってしまうなんて、パチャのような大人が今までまわりに1人もいなかったのでしょうか?イズマが知らせたクスコの死に淡々と対応する家臣たちには少しゾッとするところもありました。

信頼から生まれるチームワーク

クスコの成長とともに楽しめるのがクスコとパチャの信頼関係。バラバラな方向を向いていた2人にチームワークが生まていき、ラストの決戦で見せてくれるバディもの定番の流れはやっぱり見ていて気持ちがいいです。文字通り背中を預けられる関係ですね。

中盤のパチャ一家もチームワーク抜群でしたが、こちらも日々の信頼関係、コミュニケーションや仲の良さがあるからこそ。前半のほっこりする家族団らんシーンがここで生きてくるなんて!

一方のイズマとクロンクは一緒にクスコを追い詰めていたのに最終的にほぼ自滅状態。ここには信頼関係が成り立っていなかったということでしょうか…。

あとがき

この記事を書くにあたり某映画レビューサイトを覗いたのですが、あまりの高評価にちょっと驚きました。こんなに人気だったの?

ディズニー映画好きとしては、「ディズニーらしくなくて最高!」とか書いてあるとちょっと寂しいですが…。

とにかく疲れたときなどに気軽に観ることが出来て、笑いと元気をもらえる作品です。