遅ればせながら観てきました!吹き替え2D鑑賞です。
私の中では「インターネットの世界がこんな感じだったら…」を楽しむ映画。映像もいつもどおり抜かりなし!
ただ前作を強く愛する方には不満な点もあったようです。一緒に観た人は、途中で少し飽きてしまったみたいでした。(私より楽しみにしていたのに…)
Contents
基本情報
原題は「Ralph Breaks the Internet」。2018年11月21日公開(日本では2018年12月21日)。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作の長編アニメ映画57作目。(ピクサー映画ではない。)
同スタジオの52作目である「シュガー・ラッシュ」(2012)の続編。
監督はリッチ・ムーア(「シュガー・ラッシュ」「ズートピア」「ザ・シンプソンズ」など)、フィル・ジョンストン(脚本にも参加。「シュガー・ラッシュ」「ズートピア」の脚本にも参加している)。
あらすじ
ヴァネロペとラルフは、アーケード・ゲームの世界で暮らすゲーム・キャラクター。見た目も性格も正反対だけど、ふたりは大親友。レースゲーム<シュガー・ラッシュ>の天才レーサーにしてプリンセスのヴァネロペは、好奇心旺盛で新しいことやワクワクすることが大好き。
ディズニー公式
一方、不器用だけど心優しい悪役キャラクターのラルフは、ゲームの世界の変わらぬ日々を幸せだと感じていた。
ある日、<シュガー・ラッシュ>のハンドルが壊れ、廃棄寸前の危機に!インターネットの世界では何でも手に入れることができると知ったヴァネロペとラルフは、ハンドルを手に入れて<シュガー・ラッシュ>を救うため、インターネットの世界へ向かう。
新しい世界に飛び込んだふたりの前にどこまでも広がるのは、高層ビルがそびえ立つ、カラフルな巨大都市。ゲームの世界しか知らないふたりにとって、見るものすべてが新鮮で刺激溢れる世界だった。戸惑うラルフとワクワクを隠せないヴァネロペは、ほどなくオークションサイトでハンドルを見つけて大喜び。ところが、より大きな数字を言った者が勝つゲームと勘違いして、あり得ないほどの高額で落札し、24時間以内にお金を稼がなくてはならないはめに!
刺激的なインターネットの世界で、<スローターレース>のカリスマレーサーシャンクと出会い、新たな夢を持ち始めたヴァネロペは、この世界こそが自分の本当の居場所なのだと運命を感じていく。一方ラルフは、ハンドルが手に入ったら、親友ヴァネロペと元の世界に戻るのだと当然のように思っていた。次第にふたりの心はすれ違い、思わぬ出来事を引き起こす。
そして、インターネットの世界に崩壊寸前の危険が迫ったとき、ふたりの冒険と友情も最大の危機を迎える・・・。果たして<シュガー・ラッシュ>とふたりの運命は!?
登場人物
※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。
ラルフ
古いアーケードゲーム、フィックス・イット・フェリックスの悪役キャラクター。心優しいけどゲーム内では破壊が役割のせいか、ものを壊しがち。
前作でヴァネロペと親友になり、ヴァネロペからもらった「私のヒーロー」というクッキー製のメダルを大切にしている。
本作では彼の悪気のない破壊行動が非常事態を招くことに…。
ヴァネロペ
古いアーケードゲーム、シュガー・ラッシュのレーサーのキャラクターで、プリンセス。元気いっぱいでちょっと生意気(?)な小さな女の子。
前作でラルフと親友になりゲーム内の問題も解決してめでたく暮らしていると思いきや、刺激のない日常に不満がある様子。
シュガー・ラッシュを救うためにやってきたインターネットの世界で好奇心いっぱいの彼女が出会ったのはまさに理想のレースゲームで…。
シャンク
インターネット上のゲーム、スローターレースのカリスマレーサー 。
ヴァネロペは同じレーサーとして彼女を尊敬しているが、ラルフはヴァネロペをシャンクに取られてしまうのではと不安で嫉妬してしまった様子。
凄腕レーサーで、美しく、仲間思いで、姉御肌。あまりに完璧なので私としてはちょっと物足りない気も…。
その他
- イエス…バズチューブのアルゴリズム。青いスリムな女性の姿。流行に敏感なため服装もしょっちゅう変わる。
- JP・スパムリー…「ゲームで稼げる」といういかにも怪しいポップアップ広告。緑色の男性の姿。私は彼がブロックされるシーンが好き。
- ノウズモア…検索エンジン。紫色の小さいおじさん(?)の姿。検索したい言葉を前のめりに予測変換してくるところが面白い。そうそうまさにこんな感じ!
- ダブルダン…ダークウェブでウイルスを作っている肌色の大きなワーム(ミミズ?ヒル?)。彼と話している最中に首のあたりに埋め込まれたような弟を見ると、怒る。正直、あまりの気持ち悪さに彼との会話シーンの内容をあまり覚えていません。皮膚のリアルさといい、このときばかりはCG技術の進歩を恨んだ…。
感想
※ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。
テーマは友情の形よりも女性の自立?
映画の前半ではラルフとヴァネロペという対等な2人の友情が成長する物語であると思っていたのですが、後半になるとどうやらヴァネロペという女性の自立の物語なのかなと感じました。
最後まで2人の友情についての物語であることは間違いないのですが、話が進むにつれラルフの方に一方的に非がある扱いになった気がしたからです。
日常を変えたいヴァネロペと変えたくないラルフ。どちらが悪いというわけではなくすれ違っていく切なさ。問題を起こしがちなのは感心しませんがどちらにも感情移入して観ていたつもりだったのですが…。
プリンセス登場の意味や2人の終着点を考えると女性にもやりたいことをやらせるべき、守られているだけが女性ではない、と言いたいように感じます。ヴァネロペが男の子だったらまた印象も変わってくるのかなぁ。
そういえば本作の新キャラクターたちも積極的に2人を助けバイタリティに溢れているのは女性(シャンク、イエス)で、いい人だったとしても受動的だったり悪事に片足突っ込んでるのは男性(ノウズモア、スパムリー)みたいな差があるような。考え過ぎ?
前作でヴァネロペがラルフに一方的に守られているという印象はまったくなく、お互いがお互いを必要とする対等な関係だと思ってみていたので私には続編で突然実は2人の間には男女のちから関係が存在していたと示されたようで少し違和感を覚えてしまいました。
女性の自立を描くことやストーリー自体に問題はなかったのですが、それがラルフとヴァネロペだから変な感じなんだろうな。
インターネットの世界
頭の中ってどうなっているんだろう?が映画「インサイド・ヘッド」なら、そのインターネット版が本作。
有名な企業が次々と登場し、スクリーンの隅々まで手を抜かないこの世界はきっと大企業ディズニーだけが為せるもの。
インターネットの世界へ行った前半はこの世界観を中心に見せていくので、これがハマれば次から次へと登場するイメージ化やあるあるネタが楽しめます。(逆に言えば、ハマらなければしばらく退屈してしまうかも。)
私としては本作一番楽しめたのがこの部分で「なるほどこういうイメージになるわけね!」とか「あーたしかにこういうの流行ったよね~」とか、いかにこれまでインターネットの世界に浸かっていたかを痛感しました。
人物ネタについてはミランダ・シングスしか分からなかったのが悔しい。もっとたくさん登場していただろうしそのネタが分かればもっと楽しめただろうなぁ。
ディズニープリンセスたちの登場は必然
予告やCMで積極的にディズニープリンセス大集合の場面が使われ、これにつられて映画を観ることにした人も多いことでしょう。
私は逆にこれが原因で観るのをためらっていたのですが。そもそもプリンセス映画好きの層とシュガー・ラッシュ好きの層は必ずしも重ならないと思っています。プリンセスを餌にするような方法をとって逆に評判を落とすのではと心配でした。
ただ映画を観てみるとプリンセス登場は大きな意味があり、まずはヴァネロペと遭遇して「強くて大きな男性に幸せにしてもらったと思われている」ことを彼女に肯定させます。
次に(同じディズニープリンセスでもヴァネロペにはミュージカルなしのキャラクターを貫いてほしかったと思っていたのですが、)プリンセスお決まりの水に顔を映す行動で歌が湧き上がりミュージカルに突入。これでヴァネロペが正真正銘のディズニープリンセスであることが示されます。
ちなみにこのミュージカルシーンはミュージカル嫌いに嫌がられるのはもちろん、過去作品のパロディ演出が揶揄にも見えるので結果的にミュージカル好きでさえ敵に回すのではないかとハラハラ。
その後、自分のやりたいことを貫くことにしたヴァネロペや女性だけで協力しあいラルフを助けるプリンセスたちのシーンによって、本作のヒロインヴァネロペだけでなくディズニープリンセスは全て自立した強い女性であるということを伝えているのだと思います。
プリンセスが登場しなければたぶん結果が同じでも女性の自立の物語とは思わなかったのではないかな。そう思うと、プリンセスたちは本作において必要な存在だったのだと思います。
それにしても白雪姫の可憐さはまるでないしシンデレラがガラスを靴を割るのも彼女っぽくないしメリダのネタも仲間はずれにされているのではと心配しちゃう。まず、強い=武器が使えるではないと思うのですが…。
普段着でくつろぐプリンセスたちは本当に可愛らしいし、シーンとしては好評だし、一貫したメッセージ性を持たせず短編映像くらいでだったら純粋に楽しめたかも。私が石頭すぎ?
ディズニーにしてはグロテスクなシーンも
本作で私が「ちょっとグロテスクだな…」と感じたシーンは3ヶ所。ダークウェブ住人の造形、最後の敵の造形、エンディングの1ネタ、です。
敵や悪者の造形に関しては、過去にも怖いキャラクターはたくさんいたけど直視しづらい気持ち悪さを感じたのは本作が初めてかも。映像が美しすぎるせいでしょうね。
エンディングのネタに関しては監督が「ザ・シンプソンズ」も手がけていたと知って大いに納得ですが、健全で安心安全のディズニー映画だと思って子供と視聴した親御さんはちょっと驚かれたかもしれません。
どちらにしろ本作のメインターゲットと思われるゲーム好き、ネット好き層からすればきっとどうってことない表現だし、おそらく狙い通りなのであろう「やるじゃんディズニー」的な評価もされているようです。
でも、「ディズニープリンセスが登場するから!」と映画を観た層が引いてしまわないかと勝手に心配してしまいました。
その他印象に残ったこと
- ラルフの思いつきは全部破壊行動なのが面白い。
- ラルフ=ゴリラと言いたいのかと思うシーンが2回ある。
- ヴァネロペのお手振りシーン可愛すぎ!
- 知らない世界でヴァネロペ(小さい女の子だし、ちょっと不安定になるとバグが発生するし!)を手放せないラルフの気持ちも分かる…。
- ヴァネロペ、せめて待ち合わせについては連絡してあげて!
- エンディングでシュガー・ラッシュやお店についてのフォローがもう少し観たかったかな。当初の旅の目的の結果をしっかり描いてほしかったのと、心配な要素が残ったままな気がする。
- エンドロールにスクロールバーが付いた演出がいい♪
あとがき
記事を書いているうちにキャラクターよりも世界観やテーマが先に作られたように思え、それ故前作の強いファンには受け入れ難かったのかなと感じました。
とはいえ広大で可能性に溢れたわくわくするインターネットの世界はこうやってこの記事を探し当て読んでくれるようなネットの使い手であるあなたなら楽しめるはず♪
カッコいい女性・活躍する女性が好きな方、過去のディズニープリンセスの新たな一面を見たい方にも良いですね。
そしてディズニーファンは是非ウェブサイトOh My Disneyのシーンでどれだけディズニーキャラクターを発見できるか、チェックしてみてください!
私はずーっとハンフリー・ベアに釘付けでした♪