なぜか今までご縁がなく、今回初めて視聴しました。実写とCGを融合させた映像世界が今観てもどこか新鮮で面白い!
メインキャラクターの強さや優しさは、子供の教育に良さそう。過酷な状況の中で物語があまりに美しくまとまっている点では、シビアな現実を知っている大人には少々物足りないかもしれません。
Contents
基本情報
原題は「Dinosaur」。2000年5月19日公開(日本では2000年12月9日)。
ディズニー長編アニメーション映画第39作目。CGアニメーション。
監督はラルフ・ゾンダッグ(「恐竜大行進」(※ディズニーではない)の監督)、エリック・レイトン (「ガフールの伝説」(※ディズニーではない)の監督)。
あらすじ
6500万年前――白亜紀。繁栄の頂点にあった恐竜たちの時代は、突然の巨大隕石の衝突により終わりを迎えようとしていた。緑の平原は焼き尽くされ、湖は干上がり、目の前に広がるのはただ荒れ果てた大地のみ。難を逃れた一握りの恐竜たちは、どこかにあるはずの楽園を求めて、生き残るための移動を開始する。この作品のためにディズニー社が建設した最新デジタル・スタジオ《ザ・シークレット・ラボ(TSL)》が全編1245カットに最新特殊効果を使用。最先端の映像テクノロジーが初めて可能にした、その映像の迫力、躍動感、緊迫感は、リアルを超えた“ハイパー・リアル”な映像革命!実写の背景とCGの恐竜たちがパーフェクトに共鳴しあい、観る者全てを太古の地球にタイムスリップさせる奇跡の映像エンターテイメント!
公式ブルーレイ&デジタル作品紹介
登場人物
※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。
恐竜の種類が全然分からないのでWikipediaを参照しました。
アラダー
卵の時にさらわれ、運ばれる途中で落下してキツネザルの群れに拾われ家族として育てられた恐竜の青年。青みがかった肌のイグアノドンで、心優しく子ども好きな性格。
隕石落下後に生き残った家族を連れて”命の大地”に向かう恐竜の群れに合流するが、弱いものを見捨てるクローンのやり方に反発。その後クローンに切り捨てられた恐竜たちを見捨てられずに大きな群れと分かれることになってしまう。
子どもや老人を労る優しさと大きくて強いクローンに堂々と意見する強さを持つ、まさに主人公といったタイプ。プリオの育て方が良かったのだと思う。
ニーラ
クローンの妹。ピンク色の肌のイグアノドン。
強くなければ生き残れない(=弱いものは見捨てる)というクローンの考えに従っていたが、アラダーと出会い彼女の行動も変わっていく。
最初は嫌な女感があるけどすぐに打ち解け、すぐにアラダーの虜に。口では兄が正しいと言いながら、ずっと疑問を抱き続けてきた背景も急速にアラダーに惹かれた原因?
クローン
”命の大地”へ向かう恐竜のリーダー 。紫がかった肌で大きな体のイグアノドン。
老人や子どもなどの弱い立場のものを見捨て、強いものだけが生き残れば良いという考えのもとに群れを率いている。しかし、ブルートンへの接し方や水発見時の態度からただの自分本位にも見える。
群れに入ったばかりで自分に意見し、さらにニーラといい感じになったアラダーを目の敵にするように。
ブルートン
群れの中でクローンの右腕のような立場にいるイグアノドン。(アラダーたちに比べずんぐり・ごつごつしているので違う種類かと思ってた)体は黒っぽい。
偵察中にカナタウルスに襲われて怪我を負ったため、リーダーの次くらいに強い立場だったのが一気に転落し置いていかれる側の弱者となってしまう。
私の中では本作で一番注目していただきたいキャラクター。
そのほかの人達
- プリオ…キツネザルのメス。生まれたばかりのアラダーを拾い、アラダーの母親代わりとなる。まわりを気にかけ世話をし励ます存在で、まさに”お母さん”。
- ヤー…プリオの父。赤ん坊だったアラダーを処分できず、プリオが育てることを許す。今では良いおじいちゃん。
- ジーニー…黄色い毛色をもつキツネザルのオス。アラダーと仲良し。”求愛の日”に毎年失敗しているようだけど彼に春は来るのか…?
- スーリ…プリオの娘。アラダーとよく遊んでいるので他の恐竜にも物怖じしない。とにかく可愛い。
- ベイリーン…ブラキオサウルスのおばあちゃん。体が大きいって素敵。アラダーを叱咤するシーンが良かった。
- イーマ…おばあちゃん2匹目。スティラコサウルス。穏やかなタイプが多い中、皮肉屋というかズケズケ言う感じが面白い。
- アール…アンキロサウルス。ベイリーンやイーマから気にかけられ、一緒に行動する。喋らないし、仕草も犬っぽい。思いの外目立たなかった。
- カナタウルス(カルノタウルス)…獰猛な肉食恐竜でトゲトゲして赤みがかった肌。洞窟に現れたときの血走った眼がかっこいい。完全に悪役として描かれているけど、彼らも生き延びたいよね…。
感想
※ストーリーの核心には触れないようにしていますが、ネタバレになり得る情報が含まれています。ご注意ください。
実写背景とCGの融合
当時のCG映画にしては背景がすごくリアルだな、と思っていたらこの作品はあらすじにもあるように実写背景とCGのキャラクターを融合させたものとのこと。
これはもう20年前の作品なのでいかにリアルかという点では最近の映画のほうが上ですが、この技術が特殊なものなのか今観ても驚きと新鮮さがあります。(そうはいってもやっぱり公開当時に革新的な新しい映像として驚きを感じたかったけど…)
リアルさで言えば、水に入ったときの飛沫や体が濡れた質感、咆哮の際の頬の皮の揺れなどが好き。
そして隕石落下シーンにおける最初の大きな隕石はリアルな映像と静かな迫力があまりに恐ろしくて印象的でした。でもシーンの終盤では不思議と昔の特撮映画のような(チープさのある)映像にも見えたり。それはそれでアナログ好きとしてはちょっとトキメキます。
絶滅した恐竜たちによる希望の物語
どうしても「恐竜ってこの後絶滅するんだよね」という目で観てしまうのですが、これは恐竜たちが生き延びて命をつなぐ希望の物語でした。
”希望を捨てない”や”運命は自分で切り開く”、エンディングにおける”旅は続く”といったポジティブなワードを恐竜たち(キツネザルも)に語らせること自体に意味があるように感じます。
ただこのリアルな映像を駆使してシビアでリアルなそれぞれの生き残りをかけた戦いを描くのかと思いきや、善(アラダーたち)と悪(クローンやカナタウルス)をはっきりと分けたストーリー。
ディズニーでもここまで来たらもっと割り切れないような出来事や悪側の言い分も描いてほしかった気がします。
立場が転落したブルートンの心情
一番私の中でドラマチックかつ難解な人(恐竜)に思えたのがブルートンです。
彼はクローンの右腕。クローンを尊敬しているのかとにかく生き残るために取り入っているのかは分かりませんが、打算などは感じない働きっぷりです。
しかし怪我を負った際にクローンから見放され、一気に弱者へ転落。この時点で彼の心情や今後の行動が気になって仕方ありませんでした。
そこへ手を差し伸べるアラダー。拒否するも最終的にアラダー率いる弱者集団に合流するブルートン。すっかりあきらめモードな彼をプリオが励まし、ツンデレキャラとして仲間になってクローンに一矢報いるのかと思いきや…。
ブルートンの行動はアラダーに希望を託したということでしょうか。見ようによってはプリオの言葉も届かず心を決めていたようにも見えます。弱者(この集団の中でも足手まとい)となることがどうしても出来なかったのかも。色々と考えてしまいました。
なぜ家族がキツネザル?
この作品の気になった所は、キツネザルが登場すること。他の動物はおらず、恐竜とキツネザルのみです。
なぜ気になったかというと、他の恐竜に出会ったときにアラダーが愛する家族を恥じてしまうとか恐竜にはないその器用さで状況を打破するとかのドラマ性を期待したから。そして、その予想を見事に外してしまったから。
特にジーニーに関してはもっと活躍してくれても良かったと思います(吹き替えも中尾隆聖さんだし)。例えば旅の中でアラダーと決裂するとかバディ的なチームワークをみせるとかお調子者に多いトラブルメーカーになるとか…。
そこで考えたのは、映像上必要なキャラクターたちだったのかなということ。
アラダーたち恐竜は目がアニメらしく描かれているとはいえ、どうしてもオーバーな動作やリアクションや表情をつけにくいです。そこにフワフワでジャンプしながら移動する前足を器用に使える目の大きなキツネザルがいれば、シーンにも映像にも良い変化がつきます。
とにかくかっこいい恐竜がひたすら観たいんだという方にとってもキツネザルの存在が謎なのではないかと思い考察してみましたが、いかがでしょうか?
何にせよ、体は小さいけど表情豊かで明るいキツネザルたちは過酷な状況が続く中で癒やしの存在です。
あとがき
他のディズニーアニメと並べると異色な存在だと思っていた作品。中身はしっかりとディズニーしてました。
とにかく映像の面白さに意識が向いてしまうのですが実は音楽も良いですよね。次に観るときにはもうちょっと注目(耳?)して観たいと思います。