ディズニープラスオリジナル作品、SPARKSHORTSアニメ映画「宙を舞う」の紹介と感想です。
ピクサーはいつも私を数分で泣かせてくる。
未視聴の方向け
基本情報
原題「float」2019 7分
SPARKSHORTS(スパークス 奇跡の瞬間)作品のひとつ
脚本・監督(written and directed by) Bobby Alcid Rubio
制作(produced by) Krissy Cababa
あらすじ
パパが庭で赤ちゃんと遊んでいると、赤ちゃんがたんぽぽの綿毛とともにふわっと浮かび上がります。
この子は空を飛ぶことができるのです!
そんな息子を愛しつつも、パパは他人の目を気にして周囲にはひた隠しにしています。
しかし、ある日息子が公園で他の子たちと一緒に遊ぼうと空を飛んでしまい、それを見たパパは…。
どんな作品?
空を飛んで笑っている赤ちゃんのサムネイルに楽しそうな作品を想像しますが、メッセージ性の強い作品。
監督がどんな思いで作られたか、というコメントが最後に書かれているので、現実的に考えさせられます。
起承転結がしっかりしていて、セリフが少なく短編らしい無駄のない構成で見やすいです。
音楽の使い方とか映像の美しさ、表情の細やかさ、撮り方のドラマティックさはお墨付き。ピクサー短編作品好きなら必見。
赤ちゃんや小さい子供を持つ親だけに限らず色々な状況・立場の方に観てほしい!
視聴後の方向け
感想
いつものピクサー短編クオリティ。この安定感よ。
セリフがほぼなく音楽や情景と表情から察するキャラクターたちの心情を想像していくとこの短時間ですっかり物語に浸ってしまう。
子供の個性をもっと尊重する親であろう!みたいなお話を想像していたんだけど、もっと深く重く感じ入るお話。
子供が外で飛ばないようにとリュックに石をたくさん詰めて紐をつないでいるシーンがまさに不自由さを表していて、でも親は子供を決して愛していないわけではなくて、難しい…。
セリフがほぼないからこそ、パパ渾身の「どうして普通にできないんだ!」というセリフとそれを聞いた子供の表情が印象深い。
飛ぶことが普通である子供の困惑と悲しみ、そしてパパの長年の苦悩も察するシーン。つられて泣いちゃった。
飛ぶ子供を見た周囲の反応には思わずズキッときますが、初めて見る特性に警戒するのはなんだか責められないよなぁと思ってしまう。
周囲の(いわゆる普通の)子供たちもきょとんとかびっくりしている感じ。
この後みんなとも仲良くなればいいなぁとその後の親子に思いを馳せてしまいます。
この作品のキーアイテムはたんぽぽの綿毛。ラストで二つの綿毛が一緒に飛んでいくシーンで親子の絆の強まりと自分たちらしく自由になれたことを表しているのかな。
監督の思い
作品のラストのコメントから、監督の実体験を元に作られたであろうことが分かります。
for Alex
Thank you for making me a better dad.
短編アニメ作品「宙を舞う」より
Dedicated with love and understanding to all families with children deemed different.
意味は
アレックスへ
私をより良い父親にしてくれてありがとう
周りと違うような子を持つすべての家族に愛と理解を捧げる
という感じでしょうか。
動画を見ると、監督のお子さんであるアレックスさんが自閉症スペクトラムなんですね。
コメントからは「こんなに大変だから理解してください」ではなく「あなたの大変さが分かりますよ」と寄り添うような優しさを感じます。
私は一目で分かるような周囲との違いはおそらくないのですが、他国に渡れば周りとは違った珍しい日本人にもなり得るわけで、決してこの親子の状況も完全な他人事ではないと感じました。
この作品を多くの方が見ることで、同じような状況の人の心の助けになったり周りの人からの理解に繋がったりすると素敵ですね。
SPARKSHORTS(外部リンク)