「プーと大人になった僕」感想~”何もしない”をして心に余裕を。

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プーと大人になった僕」を2D字幕版で観てきました!

涙もろい私はいつものごとく涙したのですが、隣に座っていた男性(30代後半~40代くらい?)も鼻をすすり出したのでびっくり。

大人になったクリストファー・ロビンのように家庭を持っていて仕事も忙しい働き盛りの男性には、この映画にぐっとくるものがあるのかもしれません。

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基本情報

ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ制作。

2018年8月3日(日本では2018年9月14日)公開。

公開予定の映画も含めディズニー映画をアニメ映画、実写映画に関わらず年代別に一覧にしました。第6回は2010年代です。(アニメ映画だと「トイストーリー3」から「アナと雪の女王2(仮題)」までの予定。)タイトル一覧ですが簡単な情報も付いています。

あらすじ

※ネタバレしすぎないよう予告動画くらいのあらすじを書いてみました。もっと詳しいあらすじは公式の「プーと大人になった僕」作品情報を御覧ください。

大人になり仕事に忙しい日々を送るクリストファー・ロビン。

妻のイヴリンと娘のマデリンを大切に思うものの、家族で過ごすはずの週末にも仕事をすることになってしまいます。どうやら仕事優先は毎度のことのようで、家族とはちょっとぎくしゃく。

そんな中、子供の頃の大親友であるくまの(ぬいぐるみの)プーさんが突然目の前にあらわれ、いなくなった仲間たちを探してほしいというのです。

仕事に集中するためただプーさんを100エーカーの森に送り返すだけのはずが結局森で仲間探しを手伝うことになり、その中で徐々に子供の心を取り戻していくクリストファー・ロビン。

仲間たちと一緒に過ごした後、重要な仕事のために慌ててロンドンへ戻るのですが…。

スタッフ

監督 マーク・フォスター
キャラクター原案 A・A・ミルン、E・H・シェパード
劇中歌 リチャード・M・シャーマン

監督は「チョコレート」や「ネバーランド」、「ワールド・ウォーZ」を手がけた方です。

キャラクター原案のA・A・ミルンは息子であるクリストファー・ロビン・ミルンと彼のぬいぐるみを主人公にして本を書いた人で、E・H・シェパードはその本の挿絵を書いた人。

リチャード・M・シャーマンはこれまでもたくさんのプーさん作品の音楽を担当しています。

感想

※ストーリーの一部始終を書くことはないですが、ネタバレ情報に注意してください。

どこを切り取っても絵になる映像

ロンドンの街、100エーカーの森、その中をプーさん(他の仲間も)を抱えて走るクリストファー・ロビンやマデリン…。

どこをとっても絵になる、まさに映画自体が本の挿絵のようでした。

お気に入りは両腕いっぱいにぬいぐるみたちを抱えてロンドンの街を走る、青いコートのマデリン。後ろから引きで撮った映像を引き伸ばしてポスターにしたい。

音楽も素敵だったので次に観るときにはもっと注目(耳?)したいです。

なんといってもぬいぐるみたちがかわいい

ポスターや写真だとそこまでかわいい!という感じではなかったのですが、やっぱり動いているところを見ると違いますね。

ぬいぐるみらしい、ころころとした動きや繊細な表情がなんともかわいかったです。

プーさん

あいかわらずマイペース。あちこちをはちみつで汚したり、大人を質問攻めにしたり、風船に執着したりと昔のままでまさに小さい子供!いう感じです。

なのに大人がはっとするような発言(いわゆる深い発言)を次々とするところも、プーさんらしくてよかったです。(アニメ作品の中でも、あまりそういう発言がないものもあるので)

アニメでは仲間思いだけどおとぼけでちょっと迷惑なくまさんとして見ていた私。しかし、本作では何十年もクリストファー・ロビンとの約束を守り続けていた彼に、ちょっと見る目が変わりました。

イーヨー

制作陣にイーヨー好きがいたと踏んでいる私。彼は本作で大活躍します。

他の仲間を探すときにもクリストファー・ロビンを助けます。しっぽをなくしたり家が壊れたりといつもまわりに助けてもらっていたあのイーヨーが…!

字幕でもちゃんと「です・ます」調だったのも嬉しい。やっぱりイーヨーはこうでなきゃ。

いつも後ろ向きな発言ばかりの彼ですが、彼を励まそうとすることで思わず自分の心の中に次々とポジティブな言葉が浮かぶ感覚が好きです。

仲間の中ではサイズと形が小脇に抱えるのにちょうどいい感じですよね。

ティガー

アニメでのあのパキッとした色合いに比べ、優しい色合いになったティガー。水色の瞳に引き込まれます。

プーさんとともにお騒がせキャラの彼が途中まであまりに大人しかったのであれ?と思っていたら、後半に大活躍(?)してくれます。

もうね、彼を知っている方ならあのシーンで「これはやらかしたな…」ってなりますよね。そして想像通りの展開になりましたよね。

テーマソングをマデリンに披露するシーンやラストで一緒に飛び跳ねるシーンがとってもいい!タクシーのシーンもそうですが、マデリンとセットでかわいさを倍増させる気がします。

ピグレット

小さくて臆病なピグレットはあいかわらず抱きしめたくなるかわいらしさ。お話によってしたりしなかったりだったマフラーも標準装備し、ボディの色もシックになって映画の雰囲気に合っています。

とくに顔や手足の生地(のCG?)は密度が高すぎず、でもふわふわししている感じがまさにコブタらしくてピグレットにぴったり。

アニメのときからなんといってもプーさんと手を繋いでいるシーンが好き。今回もそんな姿を見せてくれて嬉しかったです。怖がりだけど力になりたい気持ちは人一倍なので、プーさんが必要とすればいつも手伝ってくれるんですよね。

あんなにどんぐりが好きだということは今回初めて知りました。

他の仲間たち

上の4匹に比べると影が薄くなりがちなラビット、オウル、カンガとルー。特にカンガは目立たずちょっと寂しかったです。(私がカンガをもっと見たかっただけかも)

暗くて見えづらいですがみんなが丸太の中に隠れているシーンは楽しかったですね。耳だけだしたり目だけ覗かせたり、丸見えなのに隠れているつもりだったり。

それにしても2011年版プーさんのエンディングでもそうだったのですが、ラビットとオウルだけがやたらとリアル。

原作の情報を調べましたら、どうやらこの2匹はクリストファー・ロビン・ミルンが実際に持っていたぬいぐるみがモデルではなく、お話のために足したキャラクターのようです。

思っていたよりも変わってしまったクリストファー・ロビン

アニメではプーさんたちをいつも助けたり勇気づけたりしてくれていた、優しいクリストファー・ロビン。

どんな大人になっているのだろうとわくわくしながらも、予告編からあの頃の心を失いおそらくつまらない大人になってしまったのだろうということはある程度想像していました。

しかし、それにしてもあのプーさんに対する一部シーンの態度には悲しくなってしまいました。確かにプーさんは自由すぎるけど、アニメの頃から思ってはいたけど、なにもそこまで言わなくても!

ここまで悲しそうなプーさんは初めて見た気がするし、だからこそ結構ショックでした。

最後に子供の頃の心を思い出しマデリンたちとも仲良くなってハッピーエンドを迎えるためには今と未来の落差が必要だったのだとは思います。

確かに、妻のイヴリンが「何年もあなたが笑ったところをみてない」という話をしていたことで、イーヨーを助けるために川に飛び込んだ後のクリストファー・ロビンの笑顔はとても印象に残っています。でも…。

幼少期の辛い体験や戦争や仕事のストレスが彼を変えてしまったと思えば納得でき…る?

ただのぬいぐるみであるプーさんは存在しない?

私はずっと、プーさんたちはただのぬいぐるみで、クリストファー・ロビンの想像の世界の中であんなふうに生き生きと過ごしているものだと思っていました。

家の近くのちょっとした森にみんなが住んでいる設定で遊んでいたとか。

で、そんなクリストファー・ロビンが大人になってからのある日プーさんが目覚めると仲間たちがいなくなっているのですが、それはクリストファー・ロビンの想像する心が失われたことを表現しているのだと思って見ていました。

みんなを思い出してほしい想像世界の中のプーさんが何かの力によって現実世界でも動けるようになり、クリストファー・ロビンに子供の頃の心を思い出させて仲間たちを森に取り戻す、みたいな。

しかし、この映画だとプーさんはどうやらもともとしゃべって動けるようなのです。100エーカーの森(という、たぶん異世界)には生きたぬいぐるみたちが住んでいて、クリストファー・ロビンが家の近くの木からその世界へ遊びに行っていたようなのです。

じゃあ、ただのぬいぐるみであるプーさんは存在しないのでしょうか。アニメ映画のオープニングやエンディングで子供部屋に並んだあのぬいぐるみたちは何だったんでしょうか。

ここが私はどうもしっくりこなくて。思わず他のレビューをちょっと見たのですが誰もここに突っ込んでいない。プーさんという生きたぬいぐるみがいます、とみんな理解し見ているんだと思います。

ファンタジー映画は大好きだし、現実ではありえない設定もいつもはすぐに飲み込めるのに、なぜこの設定だけ飲み込めないのか。アニメ映画への思いが強すぎるのか。自分の柔軟性のなさが悔しいです。

現実はそうはいかない。でも…

この映画では”なんにもしない”が重要な言葉。

完全保存版でも学校に行くことになったクリストファー・ロビンは大好きな”なんにもしない”がきっとできなくなるのでプーさんにこれからも”なんにもしない”をしてほしいと言い、プーさんはそれを約束します。

その反対がクリストファー・ロビンの上司が言うように「ただ沈むのを待つのではなく泳ぐべきだ」という考え。クリストファー・ロビンも最初はマデリンにこう教えています。

将来のため、家族を養うため、必要な仕事や勉強。でもそういったことで忙しすぎると大切な今日や側にいる人を疎かにしてしまう。このバランスが難しいんですよね。

私は”なんにもしない”とは今を大切にして心に余裕を持つことだと思いました。

分かっていても、つい忘れてしまう大切なこと。”なんにもしない”でただそばにいること。自分の時間をつくること。心にとめておくのと置かないのでは大違いだと思います。

映画のようにすべてがハッピーにまとまるのは現実では難しいことかもしれませんが、今忙しくしている人がふと今について考えてみるきっかけになるといいなと感じました。

あとがき

実写化の話が出た当初はどうなることやらと思っていましたが、予想よりずっとかわいいプーさんたちとの冒険を堪能することができました。

子供にはかわいいプーさんたちの冒険劇として、大人には心に余裕を持ち今を大切にするようにというメッセージが込められた映画として幅広く楽しめる作品だと思います。

子供の頃のクリストファー・ロビンとプーさんたち、そして大切な約束が冒頭で描かれているので、アニメ(クリストファー・ロビンの子供時代)を観たことがない方にも話が分かるようになっています。

が!やっぱりアニメ映画1作品は先に観ておいてほしい!本作の何気ないセリフも違って見えてくるはずです。

私はアニメ映画を全部観たわけではないのですが、ひとつ選べと言われれば迷わず完全保存版(一番古い作品)を選びます。オススメ♪

くまのプーさんの実写映画「プーと大人になった僕」(原題:Christopher Robin)が2018年9月14日に日本で公開されます! ...

ちなみに、本作のように”仕事人間になった大人に子供の頃の心を取り戻させるファンタジー映画”としてオススメなのが「フック」。ディズニー映画ではないですが、ディズニー・チャンネルでもたまに放送しています。興味のある方は是非。